■プロローグ

２００４年８月某日、朝、目が覚めると瞼は、鉛のようにどんよりと重く、意識はあるのに目が開けられない。 頭もずきずきと痛む。体もまるで何かに拘束されているようだ。 連日、３０度を越す猛暑でとても寝ていられる状態ではないにもかかわらず、起き上がれない。
無常にも時が刻まれていく。 会社に行かなければ。 仕事がたまっている、行かなきゃ．．．．．

　

■第一章　医者に脅かされて

１９９９年９月某日、会社の健康診断を受けたのだが、その結果が封書で届いた。
「糖尿病の疑い、二次検査を要する」

「えっ、３８歳で糖尿病、嘘だろう！」

あわてて検査結果を見ると血糖値１２６(*1)。
基準値は〜１０９と書いてある。
なんかのまちがいだろう。
きっと、２次検査を受ければ、わかるさ。

特に体に異常があるとも思えないし、
糖尿病って言ったら、確か、のどがからからになって
水ばっかり飲まなきゃいけなくなって、
痩せるんじゃなかったんだっけ。

二次検査を受ければ、疑いははれるさ。

その時は、軽く考えていた。
糖尿病に対する何の知識もないゆえに．．．．．


１９９９年１０月某日、糖尿病の二次検査の日。

指定病院の地下1階の受付に二次検査の用紙を提出。
２階に案内され、まずは、心電図検査から。

って、おいおい違うんじゃない。
看護婦さんに聞いてみた、
「これ糖尿病の二次検査ですか。」
「えっ、心臓の検査じゃないんですか。」
「違いますよ。」
「すみません。もう一度、受付、行ってもらえますか。
糖尿病の検査は地下１階です。」

ふざけるな！！
糖尿病の二次検査でちゃんと提出したろうが。
頭にきた、わざわざ午前中休んできたのになんじゃ。

怒りながらももう一度、地下1階の受付に行った。

「糖尿病の二次検査とちゃんと書いてありますよね」
と、私が言うと受付嬢は、
「申し訳ございません。何で間違えたんでしょう」
（おのれがアホだからじゃ！）
「すみません。時間もだいぶたってしまったので、
また、後日というわけにはいかないでしょうか。」

本気で頭にきた。てめえが間違えたんだろうが！！！
(ちょっと、お下品で失礼しました。

でも、大人の私は冷静に
「わざわざ午前中休んできたのですから、今日、
やっていただかないと困ります。」

「わかりました。本日できるかどうか聞いてみます。」

少し待たされた後、「１時過ぎてしまいますが」
と言われた。

　でも、今更、検査日が延びるのも嫌だし、今日は休んでも
　かまわないやと言う気持ちから
　「お願いします」
　と答えた。

やっと、検査の説明を受けた。

なんたら負荷試験(*2)とか言って、
炭酸のような甘い飲み物を飲んでから
３０分、１時間、２時間後に採血し血糖を測定するらしい。

まず、炭酸のような甘い飲み物を飲んだ。
まずい！　気が抜けたサイダーみたいだ。

その後、看護婦さんから
「診察がありますから、そちらへ行って下さい。」
と、診察室を指さされた。

　ノックをして、診察室へ入ると、ちょび髭に眼鏡の医師が、
　椅子に座って反対方向を向いていた。

「よろしくお願い致します。」
と私が声をかけると、ちょび髭に眼鏡の医師が
こちらを振り返り、
「座って下さい」
と言われたので、医師の隣の椅子に座った。

すると、医師の口から衝撃的な言葉が語られた。

「足ね、切らなきゃならない人もいてね。
失明する人もいるんだよ。
このまま、１０年ぐらいほっとけばね。」

「空腹血糖値が１２６と言うことは、
もう糖尿病と診断してもいいんだけどね」

がびーん、ショック！！！
だったら、二次検査なんていらねえじゃん。


採血まで、だいぶ時間がかかる。

私は、ショックを受けたことにより、疲れ果て、
長椅子で寝てしまった。

すると、美しい看護婦さんが、優しく、毛布を
掛けてくれた。

「お〜、天使だ！！」